現代フランス哲学者ジル・ドゥルーズと共に『アンチ・オイディプス』や『千のプラトー』を世に問い、精神分析家ジャック・ラカンの下に学び、ジャン・ウリと共に制度精神療法をラ・ボルド病院で実践、政治や芸術についての独自の思考を展開したフェリックス・ガタリ(Félix Guattari 1930-1992)。
混迷を極める現代において、現在再評価されつつあるガタリの思想と実践について、『ジル・ドゥルーズ:超越論的経験論の生成と構造』(人文書院)を皮切りに、先日、『フェリックス・ガタリの哲学:スキゾ分析の再生』(人文書院)を刊行し、ドゥルーズ+ガタリ研究の最先端で活躍する山森裕毅(やまもりゆうき)が、初歩的なところから解説する講座です。
☆フェリックス・ガタリ独自の思想を学びたい方、新たな精神療法の可能性について考えたい方、哲学や思想を私たちの生き方とともに考えたい方におすすめの講座です。
【山森講師よりコメント】
フェリックス・ガタリといえば、世界的に著名な哲学者ジル・ドゥルーズとの連名で知られている人物です。2024年は日本でガタリに関連する本が多く出版され(私も出版した一人です)、彼独自の思想への注目が高まっています。とはいえ、彼の著作が超難解で読者を寄せ付けないのもまた事実です。
今回の講座では、ガタリがどんなことを考えていたのかをできるかぎりシンプルに、また参加者の身近な事柄と関連させながら紹介していきます。その著作にどんなに難しいことが書かれていたとしても、ガタリが考えていたのは私たち自身が今どう生きているのか、これからどう生きていくのかについてだということを少しでも伝えられればと思います。
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フェリックス・ガタリ入門の最初の一歩として、彼の行っていた多彩な活動の軌跡をたどってみたいと思います。それを通して非常に難解な彼の思想の土台にある基本的な問題意識を捉えることを目指します。
【学べる概念】フェリックス・ガタリの基本的な問題意識
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人々が集まるところでは人々の動きを調整・制御するためにゆるい/かたいにかかわらず〈制度〉が作られていきます。その制度はあなたをどういう人に変えていくでしょうか。
精神病院や政治活動の組織のなかで制度について深く掘り下げたガタリの考えを紹介します。
【学べる概念】制度分析、制度精神療法
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「もうすっかり親の顔になったね」や「日本のビジネスマンはみんな同じ表情をしてる」などの顔をめぐる定型表現がありますが、こうした表現の背後に社会の構造や権力の働きなどがあることをガタリは分析しています。
自分では見えない自分の顔と表情を社会にゆだねないためにガタリだったらどう考えるかについて考えます。
【学べる概念】顔貌性
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ガタリは人が活動する領域の地図作成という考え方を発案しました。それは人が捕らわれている場所や状況からの出口を見つけるためです。しかし、出口があったとしても誰か(何か)に連れ出してもらえなければそこからは出られないとガタリは考えます。
はたしてあなたは自分の地図をどのように描き、誰がそこから連れ出してくれる(くれた)のでしょうか。自分の経験に照らし合わせながら、ガタリの思想の実践性について考えます。
【学べる概念】生成変化
【講師】山森裕毅(やまもりゆうき)
兵庫県出身。大阪大学人間科学研究科を修了。2012年に博士号(人間科学)を取得。精神科グループホームでの非常勤勤務や精神疾患・精神障害当事者の自助活動などにかかわりながら、メンタルヘルスと哲学(主にフランス現代思想)の関係について研究と実践を行ってきた。現在は横浜にて哲学と対話を学ぶ私塾「滴塾 第二学舎」を運営しつつ、大阪大学COデザインセンターにて招へい教員/非常勤講師として教育・研究活動に従事。著書に『ジル・ドゥルーズの哲学』と『フェリックス・ガタリの哲学』(ともに人文書院より刊行)。
【オンライン開催】
◎Google Meetをもちいたオンラインでの開催となります。パソコンもしくはスマートフォン、タブレット等からご参加ください。スマートフォンとタブレットの場合、あらかじめアプリをインストールしておいてください。ダウンロードは下記のアドレスから可能です。https://apps.google.com/intl/ja/meet/
◎チケットを購入された方には事務局から、講座会場のURL等についてご連絡いたします。
※開催当日前日までに連絡がない場合は、お手数ですがinfo@dehors-org.comまでお問い合わせ下さい。
◎毎回の講座の模様は、講座終了後、限定YouTubeにて一定期間ご覧いただけます。
【参加費】
各回のみ参加:4,000円
全4回通して参加:14,000円
【参加資格】
◎資格や能力は必要ありません。
◎哲学や哲学的な考え方を学びたい方であればどなたでも参加可能です。